「柚希くん? 起きてる?」

「起きてるよ」

「それならいいんだ」

「カナちゃん、入っておいで」

「いや、私、学校行かないと遅刻しちゃう…」

「いいから」


ドアが開いて柚希くんに手首を掴まれた。


「柚希くん! 服!」

「ん?」

「早く服着て!」

「ゆず! いい加減にしろ!」


和希くんは怒りながら私と柚希くんの間に割って入った。


「またかずくんに邪魔された……まあ、いいや。また今度ね? カナちゃん!」


あれ? 柚希くんってこんなキャラだったっけ?


「自分の身くらい自分で守れよ」

「ごめん」

「普通に男の部屋に入るとか、なにされてもいいってことと同じだから」

「う、うん……ごめん」

「お前って本当に自覚なさすぎ」

「気をつけます…」

「……っていうか、学校遅刻するよ?」

「あ! やばい!」


私は鞄を持って慌てて家を出た。