「僕からは逃がさないよ・・・どこにも」

私をベッドに仰向けに沈めて愁一さんが狩りを始める。“うさぎ”の私に牙の間から妖しい舌なめずり。

「目を盗んで逃げても、油断させてるだけだからすぐに君は掴まる」

捕らえた獲物を、耳の穴から爪先まで隈なく舌で味わい尽くした後。やんわりと逞しい四肢で押さえつけ、美味しそうなところだけを嗅ぎ分けてさらに嬲(なぶ)って。
 
「少しぐらい抵抗してもいいよ。睦月が僕のものだって教えてあげる楽しみが増えるね・・・?」

何度も高い悲鳴を上げ赦しを乞う、憐れなうさぎ。力無く横たわる脚の間に彼の“爪”が喰い込む。

「それとも散歩くらいは許してもいいかな。・・・道草は駄目だよ、危ないでしょう」

慈悲深い微笑みがふわりと私を包み込んで。後はもう記憶が白い。

獣のようにずっと四つん這いの私。本能のままに与えられ求め、求められるままに与え。野生に解き放たれたかのように、自分から望んで翻弄され続けた。 


 
次の日の休日も、ひたすら愛する人とベッドで過ごす。
 
『・・・ごめん睦月。しばらくアパートには帰してあげられない』

夜になって困ったように笑む愁一さんが妙に愛おしかったから。それも悪くないかなって。クスリと笑んで頷き返したのだった。