ふわトロな玉子に包まれた、ホワイトソース添えのオムライスをご馳走してもらった後。ソファで寛いで、次の日は仕事が連休だと知った保科さんは。

「・・・じゃあ良かった」

淡く口許を緩めて私の頭の後ろをやんわり掴まえ、初めは啄むように、次第に深いキスを繋げた。躰がゆっくりと倒されて保科さんの重みを受け止めながら。角度を変えてはしなやかに口の中を侵される。久しぶりの感覚に脳も躰も否応なしに溶かされてく。
 
「・・・っ、んっ・・・」

くぐもった声が漏れ出てしまうと保科さんはもっと容赦なくなる。脚の付け根の奥が昂るように疼いて、切なくなるのを私は必死に堪えてた。小さく身悶えるのを彼は分かっていて赦そうとはしない。やっと離された時には理性も底を尽きかけていた。

「一緒にシャワー浴びようか。おいで?」

手を引かれてバスルームへ。恥ずかしいというよりはどこかやっぱり現実味を帯びてなくて。夢見心地だ。
 
「綺麗だね睦月の体。・・・もっと見せて」

保科さんに洗ってもらい、何だかそういう女性扱いがものすごく久しぶりだから、何されても心臓が跳ねて困った。無駄な肉が付いていない男らしい彼の体付きにも、だけれど。

お湯を滴らせ、少しだけ互いを愛撫しあって。それから。2階のベッドルームで夜通し、遠慮なく彼に翻弄された。優しいようでいて何度も容赦なく私を追い詰めて。一方的なようで。私にも奉仕させるギブアンドテイクな抱き方。

「・・・ほし、な・・・さ」

「教えたでしょう、名前」

追い詰めてる最中でも冷静に責める。

「しゅう、いち、さ・・っ」

「呼ぶだけじゃ分からない。・・・言ってごらん睦月」


優しい声で有無を言わせない命令は、数えきれないぐらい。
従順に応えればそれ以上に与えられる。満たされる。

まるで関係なかった。出逢ってからの時間も、相手を知らないことも。
心を繋げあう前に。私たちは深く躰を繋げあって、・・・始まった。