二人して下を向いて探し回っているうちに、気が付けば駅までたどり着いてしまった。

結局見つからなかったことに、結々は落胆の色を隠せない。

けれど先程までの見つけなくてはという焦りとは裏腹に、心にはどこか諦めきった落ち着きが広がっていた。

もしあの星が結々の思う通り、葵との繋がりを示すものなのだとしたら、見つかるはずがないのだ。

嘘で塗り固めた自分たちの関係に、何を縋ろうとしていたのだろう。

駅の明かりの中に立ち止まってしまった結々の顔をのぞき込み、葵は遠慮がちに帰ろうと言った。

結々は頷くしかない。

と、歩きだしたその時、落とした視線の先にきらりと光る物が目に入った。

駅のわきにある、小さな花壇。

寒空の下薄汚れたレンガの上に、その髪飾りは置かれていた。

「あっ」

駆け寄ってその前にしゃがみ込むと、おそるおそるそれを手に取った。

手のひらの上でラインストーンが光を放っている。

「あった……」

「あったね」

葵も結々の後ろに来て優しく言う。

「もしかしたら誰かが見つけて、踏まれないようにそこに置いたのかもしれないね」

結々は呆然と帰ってきた宝物を眺めていた。

……帰ってきた

詰まっていた息を吐きだし、そっと頬ずりする。

頬にあたるひんやりとした硬さに遅れて実感がわいてきて、結々は涙の滲む目尻をぬぐった。