「そうだよ」
「なんだか、変な感じがしたんです」
あの時、私は確かに意識があった
知らない男の人が必死に守ってくれようとしていて、私を庇って倒れて
その瞬間、全身から血の気がサーッと引いたのを覚えてる
頭が真っ白になって、近づくともう危ないっていうことが分かって
その途端、ガンッと頭を殴られたような痛みがきて
“もう一人の自分”が出てきたような、そんな感じになって
確かに意識はあるのに、知らない自分が身体を動かしていた
私は暗いところでただその光景を見ているしかなくて
「その時、敵が私のことを“ガイア”って言っていたんです
もう一人の自分はその事を否定しなかった
もしかして、記憶をなくす前の私に何か関係があるんですか?」

