本格的に頭が痛くなってきた。我慢できない。
「あのぉ」と小さく挙手する。
「セミナーはもう終了ですか?」
一瞬、会場が静まる。
「なら、私、帰らせて頂きます」
「下条冬夏さん、何を勝手に終わらせようとしているのですか?」
コホンと咳払いを一つし、体制を立て直した上条勝利が訊ねる。
「おっしゃったじゃありませんか、時間を大切にしろと。それを守ろうとしているだけです」
ほほう、と腕を組み、私を見下ろしながら上条勝利が尊大に言う。
「君も少しは利口になったようだね」
ムッカーと頭に血が上る。
もう、ヤダ、こやつの顔など見たくない! 帰ろう、と立ち上がった途端、フラリと目の前が揺れる。
おや? 地震だろうか、と思ったと同時に、「おっと」と上条勝利が私の腕を握る。
こら、離せ! 勝手に私の躰に触るんじゃない、と思っていると、掴んだ手が私の腕から背中に回り、そのまま抱き寄せられる。
公衆の面前で何をするのだ、と思ったのを最後に目の前が真っ暗になる。
ん? 冷たい。
「気が付いた?」
女性の声。聞き覚えのある声だ。
「あのぉ」と小さく挙手する。
「セミナーはもう終了ですか?」
一瞬、会場が静まる。
「なら、私、帰らせて頂きます」
「下条冬夏さん、何を勝手に終わらせようとしているのですか?」
コホンと咳払いを一つし、体制を立て直した上条勝利が訊ねる。
「おっしゃったじゃありませんか、時間を大切にしろと。それを守ろうとしているだけです」
ほほう、と腕を組み、私を見下ろしながら上条勝利が尊大に言う。
「君も少しは利口になったようだね」
ムッカーと頭に血が上る。
もう、ヤダ、こやつの顔など見たくない! 帰ろう、と立ち上がった途端、フラリと目の前が揺れる。
おや? 地震だろうか、と思ったと同時に、「おっと」と上条勝利が私の腕を握る。
こら、離せ! 勝手に私の躰に触るんじゃない、と思っていると、掴んだ手が私の腕から背中に回り、そのまま抱き寄せられる。
公衆の面前で何をするのだ、と思ったのを最後に目の前が真っ暗になる。
ん? 冷たい。
「気が付いた?」
女性の声。聞き覚えのある声だ。


