私、今日からお金持ち目指します?

「なぜなら、今日去った人たちの多くが、さらに僕を見直し、今回のセミナーの続きを気にするからです」

見直すかどうかは横に置き、セミナーの続きは……確かに気になる。

「関心が深くなると人間はよりそのモノに近付こうとします。きっと彼らの多くが、後々何らかのリアクションを起こしてくるでしょう」

そこまで考えていたのか!

「今回、私の行為は、彼らを意向の沿わない時間から解放し、彼らにお金を取り戻させた。利より、時間と人物金を大切にした結果、僕は彼らに幸せを与えたのです。コレを損失と取る人は、まだまだです。『富豪への道』は遠いですね」

そう言いながらも、上条勝利は会場を見渡し、満足そうに微笑む。

「そして、ここに残ったあなた方も私を幸せにした。残ってくれてありがとう」

パンパンパンと拍手をし、「おめでとう、あなたたちは私に好印象を与えた。『富豪への道』を確実に歩き始めた」と嬉しそうに言う。

その顔にハッと息を飲む。

「久々に見たわ。魅惑の微笑み」

日下部さんが呟く。

「魅惑の微笑みって何だ?」

山下さんが囁く。