当該者の私は、周りの様子を呆然と見ながらも、意識は遠くにあった。
そりゃあ、あの言葉が彼の本心なら、当然、嬉しい。相手が誰であろうとだ! だが、あの言葉は偽物だ。それを知っているから……酷く虚しく感じる。
彼は、僕に落ちるな、と言った。だが、落ちるどころかズキズキと痛む胸でメンタルの方がやられそうだ。
「ここで質問です。相手を心苦しくさせても相手に想いを寄せる。それは本当に愛でしょうか?」
ざわめいていた会場が静まる。
「愛情の押し売り、という言葉があります。過剰な愛を一方的に与え続ける行為は、一種、ストーカーに似ています」
そんなぁ、と怜華嬢と美麗嬢が顔をしかめる。
「富豪たちは即断即決で行動しますが、引き際も心得ています。実に潔です。彼らは熱烈なアプローチを続けても……この場合、アプローチというのは単に愛情だけではありません」
「投資なども含めてです」と上条勝利が言葉を付け足す。
「相手に脈が無い、響かないと分かるとスッと引きます。まぁ、時にはそれが功を奏し、相手が振り向く場合もありますがね」
「あっ、押してもダメなら引いてみな作戦ですね!」
芦屋君が瞳をキラキラさせて声を上げる。
作戦って……何を興奮しているのだ!
そりゃあ、あの言葉が彼の本心なら、当然、嬉しい。相手が誰であろうとだ! だが、あの言葉は偽物だ。それを知っているから……酷く虚しく感じる。
彼は、僕に落ちるな、と言った。だが、落ちるどころかズキズキと痛む胸でメンタルの方がやられそうだ。
「ここで質問です。相手を心苦しくさせても相手に想いを寄せる。それは本当に愛でしょうか?」
ざわめいていた会場が静まる。
「愛情の押し売り、という言葉があります。過剰な愛を一方的に与え続ける行為は、一種、ストーカーに似ています」
そんなぁ、と怜華嬢と美麗嬢が顔をしかめる。
「富豪たちは即断即決で行動しますが、引き際も心得ています。実に潔です。彼らは熱烈なアプローチを続けても……この場合、アプローチというのは単に愛情だけではありません」
「投資なども含めてです」と上条勝利が言葉を付け足す。
「相手に脈が無い、響かないと分かるとスッと引きます。まぁ、時にはそれが功を奏し、相手が振り向く場合もありますがね」
「あっ、押してもダメなら引いてみな作戦ですね!」
芦屋君が瞳をキラキラさせて声を上げる。
作戦って……何を興奮しているのだ!


