私、今日からお金持ち目指します?

「良い指摘だ」

上条勝利も……山下さんの堂々とした質問に満足そうだ。

「その通り。彼らは使う時には使う。その額は君たちの想像を絶するだろうね」

「でも」と上条勝利がトントンと人差し指で米神を小突き言う。

「それは全て生き金だ。次のマネーを生むための投資だと思ってくれてイイ。彼らはそれがとても上手い」

あのジェスチャーは、お金を使う時は頭を使え、と言っているのだろうか?

もしそうなら、父はそれがとても下手だった、ということになる。
しみじみと納得だ!

「今、僕はお金だけに焦点を当て話しているが、これは人にも物にも言えることです」

なるほど、彼が人タラシなのが分かるような気がする。この原理を使えば……誰も彼もが人タラシになれる……わけ無いかぁ。彼の全身から滲み出る“魅力”がプラスアルファされてこそだろう。

「下条冬夏さん、どうしました?」

ん? 我に返る。

「僕をジッと熱く見つめているけど、好きになっちゃいました?」

上条勝利がニヤニヤと笑う。
……んなわけ、ないでしょう! 真面目な顔でふざけたことを言う男だ。