「はい! 俺、来る者拒まずです」

あちらこちらで笑いが起こる。

「ちょっと意味は違うが、芦屋君はモテるんだ」

上条勝利が苦笑する。

「嘘みたい……彼、人畜無害な感じなのに、夜の帝王ってこと……」
「下条さん、夜の帝王って、おもしろ過ぎです」

小さく呟いたつもりだが、山下さんに聞こえたのだろう、声を潜め必死で笑いを堪えている。

「芦屋君のモテバナは機会があれば聞くとして、お金は好いてくれる人のところに集まる、ということです」

嗚呼、なるほど。

「逆にお金を嫌う人にお金は寄ってきません。また、お金を大切にしない人からも離れていきます。これも男女の関係と似ていますね」

言えているかも。

「僕が知っている金持ちは、皆、お金が大好きで……お金に対いしてシビアでケチです。それはお金の大切さや尊さを知っているからです」

「シビア? 金持ちの方は、我々の比ではないほどのお金を使うのではないでしょうか?」

山下さんが質問する。最初の頃のようなオドオドとした様子がない。
上条勝利に認められたからだろうか?