「先ほど、お金を好きになりなさい、と言いました。人間と同じです。大抵の人間は好意を持たれている者には好意を持つ」
チラリと上条勝利の眼が私に向く。
今日も初回と同じ、ドア側の前から二番目の席だ。ただ、隣は日下部さんだ。
「例えばです。下条冬夏さんに僕が毎日、『好きだ、好きだ』と言っていたら彼女は僕を好きにな……」
「なりません!」と間髪入れず彼の言葉を遮る。
「ん、まぁ! 勝利様の例え話を蹴散らすなんて、生意気!」
怜華嬢と美麗嬢が眉を吊り上げるが……貴女たち、私が彼の好意を受けないのは喜ばしいことでは?
「相変わらず、僕の想い人は手厳しいな。まぁ、そこも魅力なんだけどね」
「イーヤー!」と二人組が歯ぎしりをする。
日下部さんがフフフと笑い小声で囁く。
「セミナー中に口説くなんて、凄く愛されていますね」
全くあの男!
「上条勝利さん、話を先に進めて下さい!」
「……という彼女のご忠告だから……」
上条勝利が軽くウインクすると、また会場が盛大にざわめく。
「悲しいかな、今はまだ、僕の気持ちが彼女に伝わっていないみたいだけど……普通は好意を持ってくれる相手を、憎からず思うのが人間だ。だろ?」
チラリと上条勝利の眼が私に向く。
今日も初回と同じ、ドア側の前から二番目の席だ。ただ、隣は日下部さんだ。
「例えばです。下条冬夏さんに僕が毎日、『好きだ、好きだ』と言っていたら彼女は僕を好きにな……」
「なりません!」と間髪入れず彼の言葉を遮る。
「ん、まぁ! 勝利様の例え話を蹴散らすなんて、生意気!」
怜華嬢と美麗嬢が眉を吊り上げるが……貴女たち、私が彼の好意を受けないのは喜ばしいことでは?
「相変わらず、僕の想い人は手厳しいな。まぁ、そこも魅力なんだけどね」
「イーヤー!」と二人組が歯ぎしりをする。
日下部さんがフフフと笑い小声で囁く。
「セミナー中に口説くなんて、凄く愛されていますね」
全くあの男!
「上条勝利さん、話を先に進めて下さい!」
「……という彼女のご忠告だから……」
上条勝利が軽くウインクすると、また会場が盛大にざわめく。
「悲しいかな、今はまだ、僕の気持ちが彼女に伝わっていないみたいだけど……普通は好意を持ってくれる相手を、憎からず思うのが人間だ。だろ?」


