「エェェ! 嘘でしょう」

その驚きは何だ!

「じゃあ、私よりも年上?」

日下部さんまで。

「……ということは、もしかしたら日下部さんって大学生さん?」
「はい。この春、大学四年になります」

エエッとこちらの方が驚きだ。
あのしっかりした態度は、どう見ても年上の貫禄だ。

「やだぁ、じゃあ、下条さんって、私たちよりずっとオバサンじゃない」

その険のある言い方は何だ! と例の二人組に視線を移すと、勝手に自己紹介を始める。

「私は金城怜華(かねしろれいか)。武蔵野音大二年。将来の夢はオペラ歌手」
「私は亜純美麗(あすみみれい)。東京芸大二年。将来の夢は演出家」

凄い威圧感。それに、見た目と違って、しっかりしている。

「あら、もしかしたら、金城不動産のお嬢さんと亜純建設のお嬢さん?」

二つとも、テレビなどで大々的にコマーシャルをしている会社だ。

「あら、バレちゃいました」

怜華嬢がペロリと舌を出す。
白々しい。

「私たち、自称、上条さんのフィアンセ候補なんです」
「自称か、そりゃイイ!」

木佐社長が大笑いする横で、上条勝利が苦笑いを浮かべる。

「若いって良いわね」

コロコロと笑いながらマダム京極が自己紹介を始める。