「本日のランチは、上条勝利先生から皆様へのファースト・プレゼントだそうです」

ウワァと響めきが起こる。

「そして、ファーストとくれば、次はセカンド……というように、今回のセミナーには先生からのプレゼントがたくさん用意されています。どうぞお楽しみに」

「それでは、楽しいお食事を」と、木佐社長が場を締めくくったと同時に料理が運ばれてくる。

どうやらナイフとフォークが苦手なのは私だけのようだ。

意外だったのは山下さんだ。躊躇いなく食べている。コッソリ聞けば、日下部さんの親に認めてもらうために、彼女に教えてもらったそうだ。何だか健気で泣けてくる。

「皆さん、ここで自己紹介といきますか?」

木佐社長がにこやかに言う。

「そうですよ。食事は楽しくです」

「ハイ!」と男子が口火を開く。本当、この子、物怖じしない子だ。

「僕は芦屋浩二と言います。この春から東大の一年生になります」

嘘っ! 天下のあの大学!

「父は芦屋出版社長ですが、僕は次男だから別会社を設立して、ミリオンダラーの会社にしたいと思っていました。でも……考え直しました。僕は家族が大好きなので、まず、家族を幸せにすることにしました」