一卓に対し椅子は十脚。男子のいるテーブルには、あのマダムと『施設の子供たちを大学に』と発言した眼鏡女史が座っていた。

「失礼します」と日下部さんが眼鏡女史の隣に座る。その横に山下さん、その横に私……が座った瞬間、隣の椅子が引かれる。

ん? と見て、ヒヤァと身を引く。
「うわぁ、嬉しいなぁ」と脳天気に叫んだのはあの男子。

なっ何で上条勝利が隣に座るのだ、と私は顔を引き攣らせる
そして、その横に木佐社長が腰を下ろすと、間髪入れず、例の女性二人組も着席する。

いったいこれはどういうメンバーだ!

「おや、これはこれは下条冬夏さん。隣り合うとは偶然ですね」

木佐社長がクッと笑いを噛み殺している。

「同席でき、私も嬉しいですわ」

マダムがニコニコと声を掛ける。

「京極様、私もです」

上条勝利が愛想良く微笑み、男子にも声を掛ける。

「君は芦屋浩二(あしやこうじ)君だね。父上からシッカリ教育してくれと頼まれたよ」
「ちぇっ、春休みぐらい自由にさせてくれたらいいのに」

春休みということは高校生? 大学生? まさか中学生ではないだろう。

「さて、皆さん、席に着いたようだね」

木佐社長が立ち上がり、マイクのある司会者席に立つ。