ヘッ? 私を誘っているの?

「俺は山下舜(やましたしゅん)。ぜひ、一緒に」

彼の方も愛想良く笑う。

この二人……屈託がないというか……何というか……好きかも。
嗚呼、コレが話にあった第一印象ね、とセミナーを思い出す。

「えっと、喜んで!」

プッと山下さんが吹き出す。

「威勢良く、喜んでって、居酒屋の店員みたいだな」

「舜君、失礼よ」と注意しながらも、彼女の頬も上がっている。

「本当、下条さんっておもしろい人だよな」

クックッと山下さんが笑いを噛み殺す。

どうやら、私の第一印象は上条勝利が言った“おもしろい人”に定着してしまったようだ。トホホだ。

「ところで」と笑いの収まらない山下さんを横目で睨みつつ、日下部さんが訊ねる。

「下条さんは、上条さんのセミナーは初めてですか?」

二人と肩を並べ、最上階である五十二階に向かっているが、それにしても彼女と彼の身長差が……。

山下さんはラガーマンのように高身長で体格が良い。逆に日下部さんはとても小柄で華奢だ。五センチ程だろうか、ヒールのある靴を履いているが、百六十センチの私より目線は下だ。