「そんなのは婚約してからでも結婚してからでも、できるだろ?」と上条勝利が憮然と言う。
先程と言っていることが違うじゃないか!
「あら、勝利君は冬夏のこと、そんなに好きなの、早く一緒になりたいの」
我が母ながら、その意味深なジト目……あぁぁ、ヤダヤダ!
「そうかぁ、冬夏は果報者だな。勝利君にこんなにも溺愛されて」
父、貴方もお黙り!
「まぁ、何にしても、この指輪は冬夏ちゃんのものだから」
皐月さんが家宝の指輪を無雑作に私の指に嵌める。
「ちょっ、母さん、指輪を嵌めるのは僕の役目だろ!」
「あら、そうだったわね」
ペロッと舌を出し、お茶目に笑う皐月さんだが、私は薬指で燦々と輝く指輪の重圧に顔が引き攣る。
「ったく! 本当に母さんって俺を苛めるのが好きだな。あっ、大江戸さん、その指輪を見せてくれないか」
上条勝利が赤い台座の上にズラリと並ぶ指輪の一つを指す。
下世話な話だが、総額いくらになるのだろう、と値札の付いていない指輪たちに思いを馳せるが、守備範囲外のお宝に、脳内電卓がヒートアップし湯気が上がる。
そして、気が付けば、家宝の指輪は外され、最も私の目を引いた、小振りのダイヤが付いた上品な指輪が嵌められていた。
先程と言っていることが違うじゃないか!
「あら、勝利君は冬夏のこと、そんなに好きなの、早く一緒になりたいの」
我が母ながら、その意味深なジト目……あぁぁ、ヤダヤダ!
「そうかぁ、冬夏は果報者だな。勝利君にこんなにも溺愛されて」
父、貴方もお黙り!
「まぁ、何にしても、この指輪は冬夏ちゃんのものだから」
皐月さんが家宝の指輪を無雑作に私の指に嵌める。
「ちょっ、母さん、指輪を嵌めるのは僕の役目だろ!」
「あら、そうだったわね」
ペロッと舌を出し、お茶目に笑う皐月さんだが、私は薬指で燦々と輝く指輪の重圧に顔が引き攣る。
「ったく! 本当に母さんって俺を苛めるのが好きだな。あっ、大江戸さん、その指輪を見せてくれないか」
上条勝利が赤い台座の上にズラリと並ぶ指輪の一つを指す。
下世話な話だが、総額いくらになるのだろう、と値札の付いていない指輪たちに思いを馳せるが、守備範囲外のお宝に、脳内電卓がヒートアップし湯気が上がる。
そして、気が付けば、家宝の指輪は外され、最も私の目を引いた、小振りのダイヤが付いた上品な指輪が嵌められていた。


