「これは?」と、テーブルに置かれたそれを見ながら上条勝利が訊く。
「これはねぇ」と皐月さんがニッと笑む。
「我が家に先祖代々伝わる家宝なの。こちらで預かって頂いているの」
「いえいえ、私どもが無理を言ってお借りしておりますの」
先程の夜会巻き美女は店員さんではなく、この店『ジュエリー・琥珀』のオーナー、大江戸さんだった。
「とても価値あるお品で……あっ、まずはご覧下さい」
そう言って、跳ね上げ式蓋をゆっくり開ける。
「ん? これが家宝? ちょっと青っぽいけど、普通のダイヤの指輪じゃないか」
白いベルベットの台座に鎮座していたのは、クラシカルな縦爪の指輪だった。
「まぁ! 何をたわけたことを! 控えおろう!」
皐月さん、時代劇ですか?
「さようです」と大江戸さんが皐月さんに相槌を打つ。
「この指輪は、十八世紀、マリーアントワネットが大切にしていたとされる”青の指輪”でございます。ダイヤはブルーダイヤで五カラット以上あります」
大江戸さんの説明に上条勝利はウームと感嘆の息を吐き唸るが、私にはその価値が分からない。それよりも……。
「これはねぇ」と皐月さんがニッと笑む。
「我が家に先祖代々伝わる家宝なの。こちらで預かって頂いているの」
「いえいえ、私どもが無理を言ってお借りしておりますの」
先程の夜会巻き美女は店員さんではなく、この店『ジュエリー・琥珀』のオーナー、大江戸さんだった。
「とても価値あるお品で……あっ、まずはご覧下さい」
そう言って、跳ね上げ式蓋をゆっくり開ける。
「ん? これが家宝? ちょっと青っぽいけど、普通のダイヤの指輪じゃないか」
白いベルベットの台座に鎮座していたのは、クラシカルな縦爪の指輪だった。
「まぁ! 何をたわけたことを! 控えおろう!」
皐月さん、時代劇ですか?
「さようです」と大江戸さんが皐月さんに相槌を打つ。
「この指輪は、十八世紀、マリーアントワネットが大切にしていたとされる”青の指輪”でございます。ダイヤはブルーダイヤで五カラット以上あります」
大江戸さんの説明に上条勝利はウームと感嘆の息を吐き唸るが、私にはその価値が分からない。それよりも……。


