「そうです。故にです。自由を手に入れた者ほど、自分に厳しくならなければ、堕落の一途を辿ってしまいます」

規制するものが何もないから、ということだろうか……。

「先日、ご覧頂いたように、富豪たちが内外共に美しいのは、努力あってです。彼らは自分を楽しく規律することを知っています」

「いいですか! この“楽しく”が大切なのです」と上条勝利が語気を強める。

「厳しさの中に楽しさを見出さなかったら継続はできませんからね。富豪になりたかったら、是非、その精神をお忘れなく!」

「そして」と上条勝利が話を続ける。

「彼らを見て、もう一つ気付かれたことがあると思います。それは、彼らの態度が、とても友好的だったということです」

「ええ、とてもソフトに接して下さって、居心地がよかったですわ」

マダム京極が頷く。

「あれは、ゲストだったからです。あの場に居るということは、“ホストに認められた招待客”と参加者が認知したからです」

「あっ、それって、シールドを破って富裕層階級に交じれた、ということですか?」

上条勝利が大きく頷く。

「その通りです」
「――ということは、上条さんのご招待がなかったら……」
「おそらく、一生掛かっても出会えなかった人たちでしょう」

――それは貴方に感謝しろ、と言っているのか?