「殊勝な振りをしてどうしたのですか?」
「振りではない! 心から謝罪しているのだ」

謝っている割には偉そうだ。

「十代の男子というのは普通あんなものだが、まだ、幼かった女の子に言う台詞ではなかった」

やっと分かったのか!

「本当はとっても可愛かった。今も覚えている。あの日の君は、まるでピンクの子ウサギみたいだった」

彼の視線が私に向く。

「俺も戸惑った。自分はロリコンなのか、と一時期悩んだ。でも、他の誰でもなく君だけだった。あんな気持ちを抱いたのは」

熱を帯びたような視線が私を射貫くように見つめる。
――どうしたのだろう……胸がドキドキする。

「君を傷付けたのだから、今更、許してくれ、とは言わない。だから、一生をかけて、償わせてくれないか?」

償う? 一生? まさか、それって……。

「もしかしたら、上条さん、プロポーズしているのですか?」
「あっ、分かってくれた?」

分からいでか!

「上条さん、ふざけています?」
「本気! あっ、先走って花束も指輪もなかった。ごめん」

そんなものは要らないけど……。

「どうして私なんですか?」

全く意味が分からない。