「だから、侮辱などしていない」
「そんなの知らないわよ! 私はあの言葉で鬱々として生きてきたんだから!」

本当、腹が立つ。

「お陰で、引きこもり生活よ!」
「ヘーッ、そうだったんだ」

なぜ、嬉しそうなのだ?

「じゃあ、本当だっんだ」
「何がですか?」
「誰とも付き合ったことがないって、母が君の母上から聞いたこと」

母が皐月さんに! 何で娘の個人情報をバラしているのだ!

「俺って根っからの策士家だな」
「どういう意味ですか!」
「だって、俺の言葉が君を今まで君の操を守ってきたんだよね?」

操を守る?

「まだ、バージンだろ? 真っ新のまま!」

ギャー! この男ぉぉ、臆面もなく恥ずかし台詞を!

「おっ、やっぱり処女は違うね。こんな言葉だけで真っ赤だ」

馬鹿か! これは怒りでだ!

「上条勝利さん、とにかくです、私は幼少期受けた仕打ちで、未だ貴方に対する怒りが収まりません」

ギッと睨み言う。

「お洋服は結構です。もう帰ります」
「ちょっと待て!」

何! まだ何か用なの、と彼を見る。

「何も買わず出て行くのは、この店に失礼だ。オーナーのシャルルが落ち込む」

どうやら、世界的に著名なデザイナーとも懇意みたいだ。本当にどこまでも嫌味な男だ。