「何がプリティ・ウーマンだ。ジュリア・ロバーツ扮するビビアンにでもなる気か? まぁ、俺のエドワードはリチャード・ギアよりピッタリかもしれないがな」

そういう貴方だって、メチャクチャ詳しいじゃないか!

でも、その言葉はリチャード・ギアに失礼だ、と思ったところに、「いらしゃいませ、上条様」とブティックの店員さんが声を掛ける。

「彼女がプリティ・ウーマンごっこがしたいと言うから、あんな風に色々持ってきてくれないか」

なっ何を恐ろしいこと宣っているのですか!

「上条さん、言っていることと、やっていることが食い違っていますよ!」

店員に聞かれないように、コソコソと文句を言う。

「セミナーでおっしゃっていたじゃないですか、シンプルライフのススメを! 無駄遣いはダメです」

「バカだなぁ」と上条勝利が言う。

「そんなのは時と場合に寄るだろう。好きな女に服をプレゼントするのは無駄遣いじゃない。だろ?」

すっすっ好き! この男、私の心臓を止めたいのか!

「かっ上条さん! ここはセミナー会場じゃないのですから、お芝居しなくていいです」
「芝居? 何を言っているのだ? 俺は君を落とすと言ったよね?」

言ったが、あれは芝居でしょう?