私、今日からお金持ち目指します？

「眉間にシワを寄せ、何を考えているのですか？　僕の話を聞いていましたか？」

おっと、そうだった。セミナー中だった。

「――すみません、聞いていませんでした」

ハーッと深い溜息が聞こえてきそうなほど、苦い顔をする上条勝利。

「もう一度言います。よく聞いていて下さい！」

ハハーッとひれ伏しそうなぐらい頭を下げる。

「有機農法で農作物を作りたい、と農業に携わる人なら誰もが思っていると思います。でも、それを現実に移す人は少ない。さっきも言いましたが、大変だからです。理想と現実の狭間で誰もが苦悩します」

まさに、それだ！

「でも、サラリとそれをやってのけるのが富豪たちです。彼らは、良いこととはが何かを知っているから悩みません。そして、財力がある。故に進むスピードが物凄く速いのです。そして、素早い行動はライバルも追いつきません」

「一人勝ちということですね！」と芦屋君がキラキラと瞳を輝かせる。

「そう、このように、富豪になれば、ほとんどのことが現実可能となるのです。ということで、話を戻します」

富豪になれば……現実可能。父の掲げる理想の店が続けられる？