私、今日からお金持ち目指します?

「それもありますがライフスタイル全般が、という意味です。彼らはお金を実に賢く使う。必要なものには湯水のように使うが、そうでないものにはビタ一文も出さない」

「例えば」と上条勝利が言う。

「食べ物だが、意外に思うかもしれないが、自給自足している富豪は多い」
「エーッ! 畑仕事をするんですか? 富豪が!」

芦屋君が素っ頓狂な声を出す。然もあらん、お洒落命のシティーボーイだ。泥だらけになる土いじりなど考えられないのだろう。

「まぁ、そう思うのも無理ないが、それほど驚くことかな?」
「アッ、そうだった」
「君のお父上も、庭の一部を解放して家庭菜園を始めたそうじゃないですか」

ヘーッ、そうなんだ。

「でも、自給自足には至りませんよ。父のは趣味の一環ですから」
「そう? 先日のお話では、オーガニック……有機野菜への関心は高かったけどね」

我が父もオーガニック製品に拘る一人だ。しかし、有機な小麦粉や野菜は価格が高い。店を年々緊迫させる筆頭は、何あろう、その有機な物たちだ。