「あぁ。じゃ、とりあえず送りますか」


いつもより20パーセント増しの胡散臭い笑顔。

鼻歌なんか歌って自転車漕いでるし。

失敗したかな、私・・・。



「美奈・・・、佐藤先輩まっすぐ帰んのー?」

「当たり前。亮介、条件ちゃんと守る気ある?」

「うん、でもキスしていいことしか覚えてないや」


それじゃあ、都合いいとこだけじゃない・・・。


「後でメールするから覚えといて」

「了解ー」



なんだかよくわからない亮介の鼻歌を聞きながら、ふと気が付いた。

ここ数日、今井先輩のことを思い出す日が少なかったことに。