「……美奈子。あの、今のは本当に?」
「当たり前じゃない」
「……っ」
「え?ちょっと、ねぇ」
言葉もないまましゃがみこんだ亮介に引っ張られ、自転車ごと倒れそうになった。
「やばい…、嬉しい……」
「え?」
「人から好きだって言われてこんなに嬉しいって思ったこと、なかった……」
「亮介は、私の昔のこと知っても好きだって言ってくれたじゃない?それから、今井先輩に気持ちを伝えなかった時は私の2年分の気持ちがもったいないって言ってくれたじゃない?」
「……うん」
「亮介が言ってくれた言葉、私もすごく嬉しかった……」
「……そっか」
「正直、最初はなんだコイツって思ったり、付きまとわれてうっとーしいなって思ったけど」
しゃがんだまま亮介がくつくつ笑う。
「酷いね、それ」
「ん、そうね。でも今は、隣に居てほしいって思ってる」
しゃがんでいた亮介が立ち上がって言う。
さっきまでの無邪気な表情じゃなくて、真面目な顔で。
「俺も、美奈子のこと思ってる。これからも一緒にいたい。年下で考えなしな俺だけど。彼女になってもらってもいいですか……?」
「……うん。……ありがとう」

