素直になろうと決めてから、あっという間に季節は過ぎた。
色々と言い訳をつけて亮介と、自分と、向き合うことから逃げてた。
冬が終わる頃までには気持ちを伝える、そう自分で期限を決めて、それまでは目をそらしてた――。
そして、あっという間に冬は終わりかけていた。
次は自分から気持ちを伝えなきゃいけない。
亮介はあんなにしっかりと気持ちを伝えてくれたんだから。
髪を切って、ずっとしていなかった化粧をして。
まだ少し怖いけど、真っ直ぐ前を向いて歩いて。
自分を隠したり偽ったりは、もうしないと決めた。
年下に気持ちを持ってかれたのは今でも悔しいけど、好きになってしまったんだから仕方ない。
「――まだ私のこと思ってくれてる……?」
もう3月なのに、雪でも降るかと思うぐらい本当に寒い。
少し指先が震えるのは、寒いからだけではないかもしれないけれど。
手袋をしてなかった指先に、暖かい手が触れた。
自転車のハンドルごと、包まれた。

