「亮介っ!!」
列を乱して近寄ってきたのは、紛れもなく里奈ちゃんで。
誰の目にも怒ってることがわかる里奈ちゃんは、目の前に立つや否や悔しそうに一言叫んだ。
「ずるいじゃない!」
「えーと?今度はどうしたの?」
「あの人よ!あんたの彼女!」
「へ?美奈子がどうかした?」
ナチュラルに答えたけれど、実はまだ顔を合わせてない。
けど、それも今日まで。
絶対に今日捕まえて、気持ちを確かめないと。
最初に決めた期限の卒業日まで一週間しかない。
「なによあれ、別人じゃない!あんな顔してたなんて卑怯じゃない!ずるいっ!」
叫ぶだけ叫んで去っていった里奈ちゃんを首を傾げながら見送った。
別人?
あんな顔?
「お前の彼女って3年C組の佐藤先輩だろ?」
成り行きを見ていたクラスのやつに言われて頷く。
「正直なんであんなにご執心かと思ってたけど無理ないね、すごい美人じゃん。今までもったいないことしてたよな」
理解不能なその言葉に、ますます首を傾げるしかない。
そんな様子に、気の毒に…とでも言いたげな顔でクラスメイトに肩を叩かれる。
「後で会いに行けばわかるって……」

