年下彼氏





陽が出ない、灰色の冬の空。

暖房の効かない体育館の寒さが身に染みる。
雪でも降りそうな寒さ。



「あっという間に卒業ね。一週間後は卒業式かぁ」


暇を持て余した真紀が隣でぼやいた。


「ほんとだね」


冷たいパイプ椅子に座って代表者の名前が呼ばれるのを待つ。

卒業式の予行演習。
久々の学校。

私も真紀も、ついでに沢藤も、無事大学に進むことが出来た。
春からは学部は違うけれど、また同じ校舎に通える。
高等部校舎に通えるのは、あと一週間。
でも、次に来るのは卒業式だから、実質今日入れてあと2日。


「ほんと、あっという間だよね」

「なんか心境の変化でもあった?」


楽しそうに覗き込んでくる真紀に笑い返した。


「ん、まぁ。閉じこもるのはもうやめにしようと思って」


長めにしていた前髪を切った。
ずっとしていなかった化粧を、薄くだけどしてみた。
俯いて歩いていたけど、真っ直ぐ前を向いて歩いてみた。

人の目にとまるのが怖かったけど、怖がってばかりじゃ、だめだから。


「こんな美奈子見たら、亮介慌てそうよね〜」

「まさか」