「美奈子のことだから、亮介に向き合う勇気がないとか言うんでしょ?」


……本当に、なんでわかっちゃうんだろう。
的確に当ててくる真紀をまじまじと見つめ返した。


「なんでわかるの?とか思ってるでしょ。こんだけ一緒にいるんだもん、わかるわよ。美奈子は自分に自信なさ過ぎなの!もう大丈夫だよ、美奈子は。だから頑張ってよ……」



“頑張ってよ、私が一緒にいるから。”

中学の時も、その言葉に支えられた。
真紀の言葉に。



「ありがと……」

「わかればいーの。しっかり頑張んなさいよ」

「うん」

「とりあえず今日は、これを頑張るわよ。目指すは歩いてもいいから完走!」

「そうね、とりあえず時間内に完走ね」


授業の少なくなった三年が唯一参加する行事、マラソン大会。
藤が丘のマラソン大会は、他の高校とは違って本格的。
男女10キロ、女子8キロの本格マラソン。

毎年受験勉強で運動不足がちな三年が弱音を吐きまくる過酷な行事だ。

スタートの合図が鳴った。