「あぁ、レイコちゃんの写真か。今ワイドショーの餌食みたいになって、かわいそうになぁ」
「どこがかわいそうなんだよ、要らない子供みたいに書いてあったじゃねーか!」
親父が困ったように笑った。
目元に、あんな笑い皺なんてあっただろうか……。
「あの頃の女優はな、大変だったんだよ。彼女もすごく後悔した。今は、あの写真に映ってる息子さんと一緒に暮らしてるよ」
「一緒に……」
「あぁ」
水の音が止んだ。
しん、と部屋が静まりかえった。
聞くなら、今しかなかった。
「じゃあ、母さんは……、俺の母さんは今どうしてるんだよ」
「七年前に死んだんだ。交通事故だった……」
「……死ん、だ?」
「お前が十歳の頃に。一命を取り留めてしばらくは入院してたんだが、容体が急変して、あっという間だったらしい……」

