「これ、亮子とお前の写真だよ」
差し出された写真は、まだ赤ん坊だった頃の俺と母親の写真、それから楽しそうに笑う親父と母親と寝ている俺の写真。
最後の一枚は、保育所の中で遊んでる俺と、静かに笑う母親が端に映った悲しい写真だった。
「こうやって、何度も様子を見に来てた。最後の写真は、亮子に頼まれて撮ったんだ。それからは、お前の成長を追って写真を送り続けた」
「ずっと?」
「あぁ、勝手に悪かったな……」
「俺は、要らない子供じゃ、なかったのかよ……」
驚いたように目を見張る親父が手を振り上げた。
正直、殴られるかと思った。
咄嗟に目をつむった俺の頭に、しばらくぶりに接する親父の手の平が押しつけられた。
「……痛ぇよ」
「そんなこと思ってたのか」
「写真、見たんだよ。なんとかってゆー女優と赤ん坊と親父の写真。裏に書いてあった走り書きみたいなのも」

