「だって、そうでもしなきゃ亮介、私のこと見ないでしょ。最後にしっかり私の方見させたかったの」
溜めた涙を溢さないように必死に堪える。
気が強い、里奈ちゃんらしい。
関係があった時も、決して好きとは言ってこなかったし、私達付き合ってるの?なんてことも聞いてこなかった。
負けず嫌いな彼女は、今ここにいるこの時も、最後まで負けず嫌いだ。
自分の姿勢を崩さない。
「里奈ちゃん、悪い。連れてきてくれたことは嬉しかった。けど、自分の家族のことだからさ、親父にでも聞くよ、本当のこと」
「そんな勇気、亮介にあるの?」
「まぁ、俺も成長したからね。あの頃のめちゃくちゃだった俺じゃないからさ……」
「そ、わかった。じゃあ記事だけあげる。読んだらどう?」
「あぁ、ありがとう」
「それから、」
彼女が振り返った。
涙はもうない。
勝ち気な瞳が笑ったような気がした。
「後悔しても知らないよ。あの人、まぁまぁ美人だけど絶対私の方が可愛いもの」

