「そこまで詳しくあなたに話す必要あるの?」

「……ないですね。でも、」


強い目で、こちらを見てくる彼女。
少しだけ、昔のことを思い出した。
昔、あんな目で私を見てたあの子のこと。

でも、今は負けない。
昔と今は違うから。


「でも、私と亮介はまだ付き合ってますから。それだけ言っておこうと思って」


――付き合ってる?誰と、誰が?

驚いた表情をした私に、彼女は勝ち誇った顔で微笑んだ。


「誰と誰が?」

「私と亮介」


彼女の唇が弧を描き、綺麗に笑う。
絶対な自信を持って。


「……違うでしょ」

「まぁ、正確には関係が終わってないってだけの話しだけど」

「関係?」

「そ、私が中学の時からの“お付き合い”。高校に入ってからもたまに関係はあったし、私も亮介も終わりにしようなんて言った覚えはない」