亮介の、自転車を支えていない方の手が、私を抱き寄せた。
抵抗なんてできなかった。
だって、その場所は居心地がいいって知ってる。
亮介は、嫌じゃない。
キスだって、触れられるのだって。
どうして、亮介だけこんなに特別なんだろう。
「俺は美奈子のこと、大事にするから」
「こんな話聞いた後じゃ、嫌でしょ・・・」
「わかってないね、俺がどんだけ美奈子のこと好きか」
「私の何がいいの?」
「それがわかんないんだよね。俺も、特別な女なんかいないと思ってたから。だから美奈子だけどうしても特別だって気付いた時は、すげー驚いた」
「・・・変なの」
嬉しいのに、素直な言葉が出てこない。
その代わりに、亮介の背中に腕を回した。

