―――解放されたかった。



それがいちばんの理由。

どうすればイジメが終わるのか、薄々気付きはじめてた。

楽になりたかった。

そうして私は、アイツの手をとったんだ―――。





「アイツは、私の“初めて”を全部持ってったやつ・・・」

「初めて・・・」

「初めての彼氏だったし、ファーストキスだってセックスだって、私の最初は全部アイツ」





どこから聞いてきたのか、アイツ―――笹倉 潤は、当時15歳だった私に目をつけた。


中学3年の夏が終わる頃、帰りによく声をかけられるようになった。
近くの大学に通う、男。

それが、笹倉 潤だった。