「亮介は、私のどこが好きなの?」
「なに、急に」
「別に、なんとなく・・・」
「・・・そうだなぁ。俺さ、女ってカッコいい男と付き合えればいい、好きな男イコールカッコいい男、みたいな考えの女ばかりだと思ってたんだけど」
・・・屈折してる。あんたの中学生活ってどんなだったの。
「でも、高校で野球部入って美奈子がいた。俺美人を見抜く目には長けてるから美奈子が超美人ってすぐわかってさ。だからこの女もどーせ何人も見た目いい男と付き合ったことのある、軽い女なんだろーなと思った」
「ひどい言われようだね」
「ごめん、あの頃はひん曲がった性格してた名残があったから」
亮介の、“あの頃”。
私の知らない亮介の過去。
今井先輩の時は、先輩の過去まで知りたいって思ったことあったっけ・・・。
「でも違った。たった一人だけ想ってて、その気持ちが全然変わらねーの。どれだけ他の見た目いい男に告られても、なびかねーんだよ。あんな女はじめて見たって思って興味ひかれて・・・、それから美奈子のこと、ずっと見てた」
・・・“ずっと見てた”。
そのたった一言に、心がざわざわする。
いつの間に、こんなに亮介に気持ち乱されるようになってたんだろう。