「はい、美奈子ちゃん。お土産ー」
軽い足取りで部屋から戻ってきた亮介パパは、私に手のひらサイズのスノードームを渡してくれた。
降り注ぐ雪の中にこじんまりとしたエッフェル塔。
「えと、綺麗ですね・・・」
「親父、今回行ったのはイタリアじゃなかったか?」
「そうだけど空港で見つけちゃったんだよねー。あとコレもお土産」
もう片方の手のひらに乗せられたのは、カラフルなチョコレートの詰め合わせ。
箱もチョコのデザインも可愛い。
「可愛い!美味しそう。ありがとうございます」
「どういたしまして」
「親父、俺には?」
「お前土産いらないって言ってなかったか?」
「ブランド物の土産はいらないって言ったんだよ!なんかねーの?可愛い息子に!」
「帰りにこんなのは買ったがいるか?」
亮介の手に乗せられたのは、東京タワーが入ったスノードーム。
「親父・・・、これまさか海外で?」
「いや、成田空港で。なんだ?どうした?」
深くため息をつく亮介と、亮介パパのやり取りは、面白くて、いつまで見てても厭きなかった。

