情けない顔でうなだれた亮介を見てまた吹き出す。
「あははっ、可笑しっ。もー、ちょっと期待したんだけどなぁ」
「あー、かっこ悪りぃ。ごめん進路変更。うち寄って」
「えっ、別に今日じゃなくてもいいよ?」
「誕生日って今日だけじゃん。今日あげなきゃ意味ないよ」
そういうもんかな?と思いながら、違う方向へ進路変更した亮介に着いていく。
まぁ、いいや。
このまま帰るだけなら、ちょっと物足りなかったし、まだ一緒にいたかったから。
***
うちからそんなに遠くない、わりとこじんまりしたマンションの前、亮介が立ち止まった。
「亮介、ここ?」
「うん。美奈子、こっち」
エントランス前に自転車を止めた亮介に手招きされて、オートロックの扉をくぐった。

