「お待たせ致しました」


静かに出されたグラスは、綺麗に3層に分かれた飲み物。

なんだろう?と首を傾げると、物腰柔らかなマスターが説明してくれた。


「ショコラティーです。下からチョコレート、ミルクティー、ミルク、飲み方は混ぜても混ぜなくても、お好きなようにお飲みください」

「美味しそう・・・」


ひとくち口にすれば、甘い香りと味が口に広がった。



「・・・美味しい」

「もう、落ち着いた?」



気遣わしげな亮介の言葉にコクリと頷く。

亮介が来てくれて、ほっとした、なんて口が裂けても言えないけど。

この気持ちが何かなんて、とっくに気付いてるけど。

だけど、まだ・・・。


じゃあ良かった、と呟く亮介に曖昧に笑みを返して、ショコラティーを口にする。



「飲んだら、家まで送るよ」

「え?」

「ケーキは、真紀さんたちと食べるかなって思ったからさ」

「・・・うん、食べたけど」

「ケーキとか花束はないけど、あとで渡すものはあるから」