どうして、何も聞かないんだろう。
亮介のこういうところが、年齢のわりに落ち着いてて、いいんだよなぁ。
くそぅ、年下相手に納得いかない。
何事もなかったかのように飄々と隣を歩く亮介を見上げる。
「・・・ブレーキ、壊れてたっけ?」
「うん?んーどうやら直ったらしい。良かった良かった」
亮介の、わざとらしい言い方にくすりと笑う。
「ありがとね。正直助かった」
「どういたしまして。そんじゃ行きますか?」
「うん。・・・って、どこに?」
「まだ秘密」
行き先を教えてくれない亮介に、私はとりあえず、着いていくしかなかった。