「美奈子、しっかりしろよ。今の美奈子は昔の美奈子じゃないだろ」 亮介の言葉に顔を上げる。 いつもそうだ、亮介の言葉はまっすぐで、心に響く。 掴みあげていた胸ぐらを離して傍に来る。 どうして隣に亮介がいるだけで、こんなに安心出来るんだろう。 今の、本当の私を、亮介は知ってる。 あの頃の、弱かった私は、もうここにはいない。 心底嫌いなあいつに歩み寄る。 「あの頃は、私もバカだったから・・・」 「あ?何言ってんだよ?」 「本当に好きな人としか、付き合っちゃいけなかったんだよ」 「はぁ?」