高1の夏ぐらいか、真紀が嬉しそうに話してた。
美奈子が自分から好きだって思ってるっぽい人がいるって。
詳しくは聞いてないけど、たぶんそうだって。
友達のそういうことに関しては口の固い真紀が思わず言ってしまいたくなるほど、嬉しいことだったんだろう。
・・・佐藤が誰にもそのことを言わなかったのは、昔のことを思い出したからだろう。
「それで、その大学生の男とはどうなったんですか?」
・・・大学生の男な。
さすがにそこまで詳しく話すことを躊躇われた。
佐藤とその男との間にあったことを、俺が勝手に話したらさすがにまずい気がした。
「・・・・・。」
「なんすか?」
「それは本人に聞け。とりあえず1ヶ月であっさり別れたよ」

