何か言いたげに俺と美奈子を交互に眺めていた親父を、余計なことを言い出さないうちにとっとと追い出すことに決めた。
「飛行機何時?どーせ車待たせてんだろ?」
「まぁ用も済んだし、邪魔したようだし行くとするか」
・・・邪魔したようだし、ってわざとだろ。
「じゃあ、佐藤さん。合宿中息子がお世話になりましたね」
「いえ、マネージャー私だけじゃないですし」
いつになく慌て気味で、美奈子らしくないのもよくわかる。
アルマーニの細身スーツ、靴、鞄、派手すぎない茶髪に、顔だけは紳士顔、な親父に免疫がなければ慌てるだろう。
外見だけなら、どこの会社の重役だよって感じだ。
あとで、家にいるときは上下千円のスウェットだって話してやる。

