そうだよ、失恋はしてない。 だって、私は恋をなくしてなんかいないから。 今だってまだ、今井先輩のこと好きなままだ。 失恋、で済ませられたらどれだけ楽だろう。 いっそのこと、この気持ちを失うことができたら良かったのに。 「美奈子のことなら、何でも知ってるから隠しても無駄だよ」 しばらく黙っていた亮介が、そう言って笑う。 大人びた笑顔が板についてる高校2年生ってなんか嫌だな。