首に当てられていたクナイをぎゅっと握ると
山﨑さんがぎょっとしているのが伝わってくる
驚いているのだろう
『……山﨑さん、僕ここじゃなきゃだめなんです。……僕は生きていかなきゃだめなんです……
…………僕、ばかでした』
そう僕が言うと
「くすっ」と笑い声が近くで聞こえた。
「……そうだね、それに
まだ入隊するって決まったわけじゃないもんね」
どうしよう、僕キレそう
「っ烝くん!挑発しないの!」
空気が戻ったのが分かったのか、ようやく口を開けて話す藤堂。
それをきっかけに僕は安心したのか
そこで気を失った……
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『もう、烝くんってば。わかるけどさ、河合も今日京にきたばっかなんでしょ?あんまいじめたらだめだよ』
倒れた河合を抱き抱えながら、烝くんに言う。
……はあ、こんなに華奢なのに
「藤堂さんは甘すぎるんですよ。それにこの子は女に見えるかもですが男ですよ。…強くなってもらわなきゃだめです」
そう言う烝は、どこか寂しげな表情だった。
その表情になにか言葉をかけてやりたいと思い口を開くが
「くすっ……では、藤堂さん。あとはお願いします」
……いつも通りの表情に戻っていた
パシャ……
襖を開けて、河合を抱き抱えながら布団を敷く。
そして、その布団に河合を寝かせる
「ん……」
少しぴくりと瞼が動いたのがわかった



