首に当てられていたクナイをぎゅっと握ると

山﨑さんがぎょっとしているのが伝わってくる

驚いているのだろう


『……山﨑さん、僕ここじゃなきゃだめなんです。……僕は生きていかなきゃだめなんです……

…………僕、ばかでした』


そう僕が言うと

「くすっ」と笑い声が近くで聞こえた。


「……そうだね、それに














まだ入隊するって決まったわけじゃないもんね」




どうしよう、僕キレそう






「っ烝くん!挑発しないの!」


空気が戻ったのが分かったのか、ようやく口を開けて話す藤堂。

それをきっかけに僕は安心したのか

そこで気を失った……













**

『もう、烝くんってば。わかるけどさ、河合も今日京にきたばっかなんでしょ?あんまいじめたらだめだよ』


倒れた河合を抱き抱えながら、烝くんに言う。

……はあ、こんなに華奢なのに


「藤堂さんは甘すぎるんですよ。それにこの子は女に見えるかもですが男ですよ。…強くなってもらわなきゃだめです」


そう言う烝は、どこか寂しげな表情だった。

その表情になにか言葉をかけてやりたいと思い口を開くが


「くすっ……では、藤堂さん。あとはお願いします」


……いつも通りの表情に戻っていた


パシャ……

襖を開けて、河合を抱き抱えながら布団を敷く。

そして、その布団に河合を寝かせる


「ん……」


少しぴくりと瞼が動いたのがわかった