「は?!じゃあ、なんで女の格好してんだよ!」



あー、これね。でも、


『きみに話す意味ある?ないよね。じゃあ…』



帰ろうとすると、「まてよ!」と大きな声で叫ばれ、またしも身体を引き寄せられる。



「この際、おとこでもいいから。遊ばない?」


え、なに。こいつそういう趣味だったの


「あと俺、じゃあいいなんて言ってないよね?」


とずっと話し掛けてきていた男の隣にいた最早、空気みたいな存在だった男がやっと話し掛けてきた。(別に望んでないけど)

……とにかく



『きもい、死ね』




そう一言放って、僕はその場から立ち去った。

待ち合わせ場所のカフェの前に着くと、彼が待っていた。

彼の前に立つと、彼が肩を震わして笑っているのがわかった。

こいつ、見てたな。



『おい。』


「い"っでぇーーっ!……なんだよ流唯(るい)!」


『きみ、見てたでしょ』


「いや、だって…おまえがナンパされてんのを見るのは流石に慣れてねえし、笑えるわ」


『あっそ。で、いまはカップルに見られてるみたいだよ?』


僕のいまの姿を見てごらん、そう言うように一回転してウインクしてみる。

うえ、僕気持ちわる←



「はあっ?!俺と流唯が?!……おまえ、そんな格好してくんなよ」


『僕、おとこ嫌いなんだよ?』


「だからって、自分くらいは慣れろよ」



そう、僕はこの世界の中で一番おとこという生き物が大っ嫌い。鏡に映る自分の姿さえも見るに堪えない。

鏡を見ただけで腕に湿疹が出るくらい。
(こいつは男という以前に人間として認めてないから湿疹は出ないよ)

それを止めるためにした


ーーー所謂、女装ってやつ