『服とかは?あと労咳用の薬とかも持って行った方がいいよね』
あ、でも怪しまれないようにしとかないといけないもんね
うーん……
「すまない…女の身で」
………………
『お、おんな…?何言ってるの、僕おとこだよ?』
この身体はきらいだけど、おんなと間違われるのも不愉快だ。
だからさ、その驚いた顔をするのやめてくんない?
「……おんなではない、のか…?ふむ、未来とは不思議だ…」
……そこで未来人というのを理由にするのはどうかと思うよ
『はあ…いいですよ、もう。僕こそ、敬語使うの忘れてすみません』
「別に敬語じゃなくても良い」
『いや、僕が申し訳ないので。……じゃあ、僕荷物を家から持ってきますね』
家帰って荷物を持って…両親に挨拶して……うーん、いつ行こうかな
「心配しなくて良い。俺が持ってきた」
そう言う一さんの両手にはいつの間にか、僕の荷物が…
幽霊ってそんなに便利なものなの?
『ありがとうございます』
「いや、御礼を言われるまでもない…。俺の成仏を手伝ってくれるのだ、俺が感謝するべきだ」
………………。
一さんを国で保護するべきだと思うよ、僕は
幽霊だけど。
「では、行くとするか」
急にそう言い放つと、一さんは真剣な表情を浮かべた。
そして、その言葉に静かに頷くと、一さんはまた「ありがとうな」と優しく微笑んだ。
「では、流唯目を閉じてくれ」
『はい…』
一さんの声……落ち着くなぁ
イケメンだしね←
……あ、えと目閉じるんだっけ?
忘れてた、あんまりにもいい声すぎて…
一さんの声を微かに感じながら、静かに目閉じる。
静かな空間にザア、とその空間には合わない大きな風の音が聞こえた
そして、心成しか何かに抱きしめられているような…そんな気がしたー…。