いつかここを出てやろうと纏めていた荷物は、今日、使う事になった。

数着の衣類と止まったままの携帯。

部屋のドアを見つめて父の気配がない事を確かめると、そっと中央の畳をあげる。
畳の裏に貼り付けられた封筒を剥がしてポケットに入れる。

年齢詐称で手に入れた仕事で父親に取られながら少しずつ貯めた貯金。

20万。

タンス貯金ならぬ、床下貯金ってね。