そこは、マンションの入り口。


「俺の家だ、まだとって食ったりしないから、とりあえず中へ入れ」


まだって何だ。


でも、最初の緊張感が欠片もなくなった私は本物のバカか、殴られ過ぎて中身なくなったかな。


マンションの中へ入ると、オートロックの機械の前で、右手の人差し指を小さなパネルに乗せる。


自動ドアが開いた……


なのに、瀬川さんはそこを通らず、機械をいじる。


「利き手の人差し指をここに乗せろ」


「え?」


やんわりと、腕を引かれ、困惑してるうちに、自分の左手人差し指がパネルに置かれた。


ピピっと何かを認証してしまったらしい音。


「これでお前もここを行き来出来る」


806を押して指を置けば入れる、と。