「寝にくい格好で悪いな」


瀬川さんは、私が背筋を正すと、私の背中に回していた腕を、頭に変える。


何、この恋人同士のような体勢…


「あの、どこへ?っていうか、なんで私を?」

なんか違うと思いながら、久しぶりに触れた優しさから離れられない。

「俺は欲しいと思ったら、手に入れる。君には悪いが、あのクラブで出逢って何度か会話してるうちに、お前を知りたくなった。だから、仕事を終えたお前の後を付けさせて家を確認させてもらった。表札は出てなかったし、名前は本当に知らん。暴力親父と言うのは…」

欲しいと思って尾行させて、家まで突き止めちゃうとか、色々怖いけど、暴力親父の単語に私の体が過剰に反応した。


私の反応に、頭から肩に降りた掌が、摩るように撫でる。



「さっき俺の腕に反応して頭を庇った。おまけに腕の赤い痣、古い痣は赤くはない、母親にやられているなら、拳では張り手だ。だから父親だろうと判断した」